AHR(芳香族炭化水素受容体)は、生体内で重要な役割を果たすリガンド活性化型の転写因子です[1][2]。
構造と機能メカニズム
AHRはbHLH-PASファミリーに属する転写因子で、以下の重要なドメインを持っています:
- 塩基性DNAとの結合領域
- 二量体形成に関与するHLHドメイン
- 2つのPASドメイン(PAS-AとPAS-B)[2]
通常、AHRは細胞質に存在し、Hsp90やp23、XAP2などの分子シャペロンと結合しています。リガンドが結合すると、これらのシャペロンが解離して核内へ移行し、ARNTとヘテロ二量体を形成して遺伝子発現を制御します[2]。
主な機能
免疫系への影響
- 腸管バリア機能や腸管免疫機能の調節
- 腸管上皮幹細胞の制御
- 腸管炎症の抑制[1]
がん抑制作用
- 大腸がんの抑制
- 腫瘍形成の抑制[4]
代謝機能
- 薬物代謝酵素CYP1の誘導
- グルタチオンS-トランスフェラーゼの制御
- UDP-グルクロニルトランスフェラーゼの誘導[2]
生理的重要性
AHRは以下の組織で重要な役割を果たしています:
- 肝臓と肺での高発現
- 腸管での免疫調節
- 血管形成への関与[2]
特筆すべきは、近年AHRが単なる異物代謝だけでなく、成長因子、抗酸化因子、炎症物質の制御など、より広範な生理機能を持つことが明らかになってきています[8]。
Citations:
[1] https://bifidus-fund.jp/keyword/kw093.shtml
[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B3%E9%A6%99%E6%97%8F%E7%82%AD%E5%8C%96%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93
[3] https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/AhR/id/1503
[4] https://www.saitama-pho.jp/saitama-cc/kenkyujo/project/project_01.html
[5] https://www.env.go.jp/content/900408520.pdf
[6] https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/12/50_1263/_pdf/-char/ja
[7] https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/30/3/30_168/_article/-char/ja/
[8] https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205548003968
[9] https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/anti-ahr-antibody-pgi.asp?entry_id=37221
[10] https://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/20090910-0241.htm
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