ACE (アンジオテンシン変換酵素) は、血圧調節に重要な役割を果たす酵素です。以下にACEの詳細な解説を行います。
ACEの構造と特性
ACEは805個のアミノ酸からなるメタロプロテイナーゼで、X染色体上に位置しています[2]。この酵素は、I型膜貫通糖タンパク質であり、生体内に広く分布していますが、特に肺の血管内皮細胞に多く存在します[3]。
ACEの主要な機能
ACEには2つの重要な機能があります:
- アンジオテンシンIの変換:
ACEは、アンジオテンシンI (AngI) をアンジオテンシンII (AngII) に変換します[1][2]。この変換は、血圧調節において中心的な役割を果たします。 - ブラジキニンの分解:
ACEは、キニナーゼII活性を持ち、血管拡張作用のあるブラジキニンを不活性化します[1][4]。
レニン-アンジオテンシン系におけるACEの役割
- レニンが血液中のアンジオテンシノーゲンに作用し、アンギオテンシンIを産生します[1]。
- ACEが、アンジオテンシンIのC末端にある2つのアミノ酸(ヒスチジンとロイシン)を加水分解し、アンジオテンシンIIに変換します[1]。
- アンジオテンシンIIは、強力な昇圧作用を持ち、全身循環に入って血圧上昇をもたらします[1]。
ACEの臨床的意義
- サルコイドーシスの診断:
サルコイドーシスなどの単球-マクロファージ系の増殖が主体となる炎症性疾患において、血清ACE活性は全身的な病勢を反映します[1]。 - 高血圧治療:
ACE阻害薬は高血圧治療に用いられます。これらの薬剤は、ACEの活性を抑制することで血圧上昇を抑制します[4]。 - その他の疾患:
肝硬変、腎不全、糖尿病などでもACE活性が高値を示すことがあります[3]。
ACEと免疫系
ACEは免疫担当細胞である単球やマクロファージでも産生されます。アンジオテンシンIIは、マクロファージの抗原提示能を増強し、T細胞の化学遊走物質としても作用することが報告されています[1]。
以上のように、ACEは血圧調節や免疫系の機能に深く関与する重要な酵素であり、その活性は様々な生理学的プロセスや病態に影響を与えています。
引用:
[1] https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410906094
[2] https://www.cyagen.jp/community/newsletters/issue-20200323.html
[3] https://www.sms.co.jp/colum/ace/
[4] https://www.dojin-glocal.com/post/%E3%80%8C%E9%85%B5%E7%B4%A0%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%80%8D%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-7%EF%BC%89%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%B3%E5%A4%89%E6%8F%9B%E9%85%B5%E7%B4%A0%EF%BC%88ace
[5] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrs1963/23/9/23_9_1012/_pdf
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